「シリコーン」は人の手によって作り出された化合物で、数々の特性を持っていることから、これまで原材料や素材として様々な産業分野で活用され、私たちの生活に役立ってきました。身近なところでは化粧品やスポーツウェア、パソコンや自動車、言われてみると毎日でも使っているはずなのに、直接目に触れないので気づかないことがほとんどです。シリコーンは環境面においても優れた適応性を持っているので、今後もますます私たちの生活に欠かせない存在となっていくことでしょう。
地球の表層を構成する成分のうち、酸素の次に多い元素がケイ素(Si)です。ケイ素は酸素との親和性が強いため、単体では自然界には存在せず、通常はケイ石(砂、水晶、石英)として存在しています。このケイ石を還元して金属ケイ素(ケイ素原子のみで構成される金属状の化合物=シリコン)を作り、複雑な化学反応を加えて作り出したのが、無機と有機の性質を兼ね備える合成樹脂「シリコーン」です。
シリコーンは、ケイ素と酸素が交互に結びついたシロキサン結合(Si-O-Si)を主骨格として持ち、そこに有機基が結びつくことで、高温や低温に強い、紫外線にさらされても劣化しにくい、水をはじくなど、様々な特性を発揮します。また、オイル、レジン、ゴムなど、様々な状態のシリコーンがあり、航空機や電子機器、化学、繊維、食品、化粧品、建築などあらゆる産業分野で活用されています。
シリコーン製品には、以下のようなものがあります。 シランは単量体の有機ケイ素化合物ですが、これを加水分解して重合させるとポリマー(単量体が多数結合した高分子)であるシリコーンになります。
シリコーンは、無機と有機の両方の特性をあわせ持つ高機能素材ですが、その優れた特性を作り出しているのが、
シロキサン結合と分子構造です。ケイ素原子は4本の手を持っています。この4本の手は、酸素を介してほかのケイ素原子と手をつなぎどんどん長くなっていく性質があります。このケイ素と酸素でつながっていく結合(-Si-O-Si-)をシロキサン結合と言います。またケイ素の手にシロキサン結合のほかに、メチル基、フェニル基、その他の有機基(官能基ともいう)などをつなげることで、様々な特性を付与することができます。シロキサン結合は、ガラスや石英などの無機物と同じ構造なので、有機ポリマーの主鎖であるC-C結合やC-O結合よりも結合エネルギーが非常に大きいです。そのため、200℃という高温になってもその結合が壊れることはなく、化学的に安定していることから、耐熱性、耐候性において非常に優れています。
以下はそれぞれの形状の写真です。
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シリコーンオイル
シリコーンオイルは、水のようにさらさらしたものから水飴状のものまで各種あります。
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シリコーンオイル
写真は粘度の高いシリコーンオイルです。シリコーンオイルは、透明性に優れています。
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シリコーンレンジ
写真のような粉末のものから固形型のものまであります。
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透明シリコーンゴム(液状ゴム)
水のように透明で、光に当たるとキラキラと輝きます。
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RTVゴム
型取り用のシリコーンゴムです。原型を正確に再現できます。
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シリコーン製品は様々な産業分野・用途で使用されています。以下はシリコーンが使われている代表的な産業分野です。